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1 管理権者が管理する公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び金網フェンス等で囲まれるなどしたその敷地部分が刑法130条にいう「人の看守する邸宅」に当たるとされた事例
2 管理権者が管理する公務員宿舎である集合住宅の各室玄関ドアの新聞受けに政治的な意見を記載したビラを投かんする目的で金網フェンス等で囲まれるなどしたその敷地部分等に管理権者の意思に反して立ち入ったことをもって刑法130条前段の罪に問うことが憲法21条1項に違反しないとされた事例
最判平成20年4月11日。
先のポストにかかる最高裁判決の詳細。
最高裁は、(1)立川宿舎の構造や管理状況等について詳細に認定した上で、(2)「前記……の立川宿舎の各号棟の構造及び出入口の状況、その敷地と周辺土地や道路との囲障等の状況、その管理の状況等によれば、各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は、居住用の建物である宿舎の各号棟の建物の一部であり、宿舎管理者の管理に係るものであるから、居住用の建物の一部として刑法130条にいう『人の看守する邸宅』に当たるものと解され、また、各号棟の敷地のうち建築物が建築されている部分を除く部分は、各号棟の建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示していると認められるから、上記部分は、『人の看守する邸宅』の囲にょう地として、邸宅侵入罪の客体になる」とし、(3)「被告人らの立入りが
これらの管理権者の意思に反するものであった」、(4)「
管理者から都度被害届が提出されていることなどに照らすと、……法益侵害の程度が極めて軽微なものであったなどということもできない」とした。
さらに、最高裁は、表現の自由との関係につき、「
本件では、表現そのものを処罰することの憲法適合性が問われているのではなく、表現の手段すなわちビラの配布のために『人の看守する邸宅」に管理権者の承諾なく立ち入ったことを処罰することの憲法適合性が問われているところ、本件で被告人らが立ち入った場所は、防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり、自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。したがって、本件被告人らの行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは、憲法21条1項に違反するものではない」とした。
なお、最高裁は、国家公務員宿舎法、同法施行令等から、立川宿舎の管理権者を、敷地及び5号棟ないし8号棟については陸上自衛隊東立川駐屯地業務隊長、1号棟ないし4号棟については航空自衛隊第1補給処立川支処長、9号棟、10号棟については防衛庁契約本部ないし同庁技術研究本部第3研究所とした。また、下線は、全て引用者による。